機能学習からケーススタディ学習へ
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パソコンは、それをそのまま教えてもなかなか覚えられるものではないので、「パソコンで何ができるかを教える」…つまり、受講生にいろいろなアプリケーションソフト(ワードとかエクセル、パワーポイントなど)を使って「作品をつくる」ように仕向ければ良いのではないでしょうか、と前項で提言しました。
これはすなわち、「機能学習」中心の教え方から「ケーススタディ」型の教え方に移行するべきである、と言っていることになります。
繰り返すことになりますが、教育側は、(機能説明用の)テキストをそのまま教えているのではなく、何をつくるのかを明確にして、それ(作品)をつくる過程で機能や操作方法が身につくように仕向けていかなければならない、ということです。
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雑な作品サンプル
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先日も或る大手の(全国にチェーン展開もしている)パソコン教室の本部に行き、このような話をしたところ、いや、そんなことは百も承知で、オレのところはちゃんと「ケーススタディ」を取り入れているよ…と言われました。
なるほど、「年賀状」とか「名刺」などを作る講座も幾つかありましたので、その分に関しては、先方の仰ることに間違いはありませんでした。
ただ、私からみて問題点が2つがありました。
ひとつは、肝心の作品サンプルが(言葉は悪いのですが)非常に雑なものに見えたことです。年賀状がおよそ人に出せるような年賀状ではない…。その原因ははっきりしています。そのサンプルが「機能」を寄せ集めた感覚で作られているからなのです。
“あまりセンスが感じられないですね”とおもわず言ってしまったところ、先方は“うん、それはそうなんだが”と認めた上で、“うちはデザインを教えているわけではないからね”という言い方をされました。う〜ん、それはそうなんでしょうけど…。
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入門編〜初級編〜中級編〜実践編
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もうひとつは、(こちらの方が重大なのですが)そのケーススタディの講座は、あくまでも「実践編」であり、その前に「入門編」「初級編」「中級編」といった「機能学習」のコースが延々と続くことです。
“せっかくの講座なんだけどね。なかなか受講生がここまで来れなくて…”。
それはそうでしょう。これでは、「パソコンを教えて(機能学習)」から「パソコンで何ができるかを教える(ケーススタディ学習)」ことになり、受講生の最初の悩みは少しも解消されていないわけですから…。
私は、最初から「ケーススタディ学習」でいくべき…と思っているのですが、そんなことは無理だ…と思われますか?
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苦手意識の増幅
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この問題は、英語教育において、「文法(つまり機能)」中心の教え方の結果、ほとんど誰も「会話」ができない…という問題に似ていると思っています。苦手意識の増幅といった面も含めて…。
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